ドイツで滞在許可証(ビザ)を取得するまでの流れは、他の国のものとは大きく異なります。
というのも、ドイツ入国前に滞在許可証を取得できないためです。日本に国籍があるなら90日間はビザを取得することなく滞在できるので、ドイツ入国後にビザを取得するという流れになります(ビザの悪用を避けるためにこうした流れをとっているのだとか)。
入国後にビザを取得するということは、「あの書類が足りない」となっても簡単に入手できない状況の中で手続きすることを意味しています。
そこで今回は、Tübingenでビザを取得するまでの流れを振り返りたいと思います。なにかの参考になれば幸いです。
※あくまでも2022年時点のものです。変更箇所などがあるかもしれません。
※私の場合は研究滞在ビザを取得したので、就労を伴う滞在用のビザの取得ではありません(そちらの方が複雑な手続きを必要とするはずです)。
Step 1. 住民登録 (Anmeldung) の予約
入国したら10日以内を目安に最寄りの住民局 (Bürgerbüro) で住民登録 (Anmeldung) をおこないます。ドイツに3ヶ月以上滞在するなら全ての人が住民登録しなくてはなりません。
Tübingenの場合は事前に住民局のアポイントメントを取る必要があったので、日本を出国する前にオンラインでアポイントメントをとりました(アポイントメントはこちらから)。
Point
住民局のアポイントメントは本当にすぐに埋まってしまいます。日本を出国する前に予約をとっておくことを強くおすすめします。私は日本を出国する3日前にアポイントメントを取ったので、住民登録できたのはドイツ入国後12日後でした...
アポイントメントを取るためのページはすべてドイツ語なので面食らってしまうかもしれません。焦らずに以下の手順でアポイントメントをとりましょう。
Step 2. 住民登録のために住民局へ
住民局(私はマルクト広場付近の住民局を利用しました)に行くと入り口にモニターがあります。自分の予約番号が表示されるまでモニター前で待ちます(コロナの影響で建物内の人数を最小限にしていました)。
モニターに予約番号と受付窓口の番号が表示されたら、建物に入り指定の窓口まで向かいます。当日、私が提出したのは以下のものでした。
Step 3. 住民登録の手続き後
住民登録の手続き自体は40分〜50分ほどで終わりました。
手続きが終わると、その場で住民登録証が発行されます(こちらはその後の手続きにも必要になるので大切に保管しましょう)。
そして、滞在許可証の申請書(オレンジの用紙)を手渡されます。こちらはドイツ語と英語が併記されており、内容は簡単なものばかりなので問題なく記入できると思います。
住民登録後、1週間ほどでTax IDが記載された用紙が郵送されます(こちらも大切に保管しましょう)。
Step 4. 滞在許可証 (Residence Permit) の申請予約
住民登録が完了したら滞在許可証を申請します。
以前はパスポートにシールを貼り付ける形式だったみたいですが、2011年以降、一枚のカードとなっており、個人情報(指紋や目の色などの身体的特徴、その他の滞在要件)が管理・記録されるようになったみたいです。このカードは電子滞在許可証 (eAT) と呼ばれ、これを発行してもらうことになります。
Point
滞在許可証は住民登録を済ませてからでないと申請できませんが、アポイントメント自体は住民登録をおこなう前にとることができます。こちらのアポイントメントは住民登録の時よりもとれません...入国後90日が経過してしまっては大問題なのでこちらも日本を出国する前(ドイツ入国の1ヶ月前ごろ)にアポイントメントをとっておくことをおすすめします。
Step 5. 滞在許可証の申請に住民局へ
私の場合、滞在許可証の申請には以下の書類が必要でした(ドイツ国内で所得を得る方の場合はより多くの書類が求められます)。
窓口の方から「目の色」と「背の高さ」を聞かれました(英語でOK)。そして、両手人差し指の指紋も登録しました(大人のみ)。電子滞在許可証にこれらの情報を登録するためです。それ以外、特別なことは何も聞かれませんでした。
最後に発行費用(大人2名:€200+子ども1名:€100)を支払います。私の場合は現金で支払いましたが、EC-Karte(ドイツのデビットカード)での支払いも可能なようです。
特に問題がなければ、4〜6週間で滞在許可証が発行されたことを知らせる通知が自宅に郵送されると言われました。
Point
電子滞在許可証の申請は入国後90日以内に済ませておかなければなりませんが、実際に手元に届くのは90日を経過していても良いみたいです。申請した時点で仮の滞在許可証が発行されているためなのだとか...とはいえ、早いに越したことはありません...
Step 6. 長期滞在許可証の申請後
申請をしてから4週間ほどで住民局から自宅のポストに手紙が届きます。
※本来はもう少し早いみたいですが、私が申請した時は、ドイツがウクライナからの難民の受け入れを積極的におこなっていた時で、オフィスも慌ただしくしていたため通常よりも時間がかかったとのことでした。
届いたものはPINコード通知書と呼ばれるものでした(オンライン身分証明機能を利用できない16歳未満の方にはPINコード通知書は届きません)。
電子滞在許可証のオンライン身分証明機能を使うためには、自ら6桁のPINを設定して、電子滞在許可証のアクティベートをしなければならないそうです(詳しくはこちらの15ページ)。その設定の際、あらかじめ設定された5桁のトランスポートPINを入力しなくてはならないようで、PINコード通知書にはその5桁が書かれていました。
この手続きをしていないと、さまざまな公的機関で求められる身分証明をお手軽にできないそうです。
そして、PINコードは...
Point
PINコード通知書には、PINコードの入力を2回誤った際に必要となるアクセス番号、3回誤った際に使用するPUK、紛失した場合にロックをかけるためのロックパスワードが記されています。いずれも非常に大切なものなので、PINコード通知書は必ず大切に、そして、他の人に知られないように保管してください。
申請してから6週間(PINコード通知書が届いてから10日ほど?)が経過しても何の通知もなかったため、PINコード通知書を持って住民局へと行ってみました。
住民局に入ると正面に円形のカウンターがあるので、そこで「eATの受け取りに来た」と言ってみましたがやはりダメでした。
しかし、(「早く受け取りたいんだ」と粘って)スタッフの方に電話で確認してもらうと、「来週なら受け取れる」と言われたので、その場で受け取りの予約をしました。
※もう少し待てば通知が届いたみたいです...
Step 7. 滞在許可証の受け取り
予約した日時に住民局へと行くと奥の外国人局へと案内され、すぐにeATを受け取ることができました。当日はパスポートを持って行けば、eATの記載事項とパスポートの記載事項との間に相違がないかを確認してもらうだ、受け取りの署名をして修了です。時間にして10分もかからなかったと思います。
長くなりましたが、以上が滞在許可証を得るまでの手続きです。参考になれば幸いです。
余談
私たち家族の場合は、ドイツ入国からeATを申請するまでの間、日本の旅行保険に入っていました。通常、入国から90日以内にeATを申請することになるので、長くても90日分は抑えておけば、eATを申請できていない期間も医療費の心配はありません。
ただし、上記の通り、eATの申請から受け取りまでには、さらに6週間ほど空いてしまい、90日を超えてしまう可能性があります。それどころか、eATの申請がドイツ入国後90日ごろ(=期日ギリギリの申請)になってしまうと、eATが手元に来るまでに90日+6週間ととても長い期間となり、旅行保険で賄える期間を大幅に超えてしまいます。
保険会社の中には、eATの実物を提示して、はじめて正式に加入を認めるところがあります。そのため、申請から受け取りまでの6週間に怪我や病気をしてしまわないかが心配です(特に小さなお子様連れのご家庭の場合)。
これについて、一般的な健康保険であれば、eATの申請をおこなった時点から保険に加入しているものとしてみなされるはずです。そのため、申請から受け取りまでの間に怪我や病気をして医療費がかかってしまっても、正式に加入した後に遡って保険会社に請求できます。
とはいうものの、一旦は自己負担になってしまうため、その金額は相当なものなのではないでしょうか...やはり、早めに住民局のアポイントをとっておき、入国後速やかに手続きすることを推奨します。
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